アメリカにおけるスクールカウンセラーの役割

ホリー・ブルネリ氏は、アメリカ北東部州にあたるニューハンプシャー州の小学校でガイダンス カウンセラーとして20年間勤務されています。今回は、ホリーさんの学校での役割を皆さんにご紹介します。(この話しは平成17年8月6日に青葉区区民交流センターでで行われた講演の内容です。)

アメリカには、国の指導要領のようなものはなく、州や市町村が教育の事を決めます。まずは、

小・中・高等学校におけるスクールカウンセラー(以後、省略しSCとします)の概要からお話します。

公立のSCはスクール カウンセリングの修士号を持たなければなりません。州からの免許を受けるために1年間の教育施設の中でのインターンシップをします。カウンセラーは教職員の契約を結び、多くのカウンセラーは教職員組合に入っています。カウンセラーの業務に関する州の方針はありますが、それぞれが学校のニーズに合わせてカウンセラーの役割を決めて行きます。高校のカウンセラーは職業指導・進路指導も行います。中学・高校の場合、ニューハンプシャー州は300人の生徒に対して1人を設けるように指導しています。小学校の場合は、児童・生徒500人に対してカウンセラー1人を設けるように州が指導しています。

実際の小学校でのスクールカウンセラーの役割

実際の小学校でのSCの役割は色々あります。まず、ガイダンスは教室における指導です。すべての教室に回り、ソーシャルスキルのレッスンを行います。カウンセリングには個人やグループに対しての対応があります。例を挙げると親が離婚した、または離婚しようとしている子供のためのグループ、ADHDのような特別なニーズのグループ、個人的なカウンセリングを要するこども、IEP(個別教育プログラム)などです。IEPは学習上、特別なニーズがある子供も学校で成功できることを可能にします。

SCは、管理職としての業務もあります。SCは学校長、副校長と仕事をすることが多いです。生徒指導や出欠席の問題に関わったり、検査を行ったり、その結果を説明したり、特別なニーズのある児童・生徒についての打ち合わせをしたり、諸委員会の議長、または委員になり、教員と話し合い、学校内安全に努めます。

SCは、地域との絆を強くする役割も持っています。保護者教育教室を開き、教えたり専門家を提供します。コミュニティ・プロジェクト・チームに参加します。子供同士のカウンセリング・プログラム及びメンターリンググループも運営します。学校及び学区の危機管理チームに属します。

カウンセラーとしての典型的な1日

カウンセラーとして働いていると、典型的な1日というのはありません。だからこそ、この仕事は面白く、手応えがあると思います。予定された活動、打ち合わせ、カウンセリングのスケジュールはありますが、緊急事態や突発的用件などのために中止することが時にはあります。ある児童・生徒が教室で落ち着かないとき、保護者及び児童生徒に瞬時な対応が必要なとき、管理職が必要なとき、カウンセラーが呼ばれます。(校長・副校長が出られないとき、カウンセラーは管理職の当番になります。)

うまくいけば、週に一回づつ、各教室を訪れソーシャルスキルのプログラムを行います。なぜこのようなソーシャルスキルが必要なのかを説明しますと、アメリカの児童・生徒の文化や背景が違うので、共通する行動基準を教えることは学校の課題になりました。丁寧な言動の基礎を楽しく覚えやすいように教えようとしています。日本の幼稚園の年長に当たるキンダーガーテンと1年生に友達作り、怒った時、さびしいときの対処の仕方をイルカと海の生き物の人形劇によって教えます。低学年生が問題を抱えている時、私は人形劇を思い出させ、その人形はどうするのかを考えさせます。

2年生では、「仲良し」というプログラムで友達作りの指導を続けます。歌や鮮やかな絵に加え、児童自身が自分達で作った人形劇によって友達との問題解決に挑戦します。3年生では、「問題解決」のプログラムによって、すでに学んだ問題解決能力を伸ばします。4年生では、特にいじめ問題に取り組みます。「いじめっ子」の定義からはじめ、いじめっこはどんなことをするのか、どうしてそんなことをするのか、そして誰でもいじめっこ、いじめられっ子になることがあり得ると話します。事前・事後のアンケート調査を行い、それによってそれぞれの学級の実態を把握することに役立てます。

どのプログラムも、児童が私のことを知り、問題が起きたら気軽に私に相談に来ることができるようにと行っています。また、学級担任にはそれぞれのプログラムに参加し、学級活動の中でその内容を膨らませ、継続させます。

その他には、個人面談、グループ面談、打ち合わせを運営したり、参加したりすること、ランチの時間の食堂当番、休み時間や下校時刻の校庭当番などと時間を割り振りし、発生する問題に対応しようとします。学校が始まる前や放課後には、保護者や教員と打ち合わせをします。電話をしたり、ほかのカウンセラーや福祉職員と電話会議をすることもあります。色々な問題に対応するために、例えば子育てアドバイスをしたり、学校や福祉団体提供のプログラムを紹介します。子育て支援を必要とする家族にソーシャルワーカーを紹介したりします。

コミュニティーの資源

街はコミュニティー・学校における諸問題を解決しようと模索しています。町のレクリエーション課は学校と親密に関わっています。YMCAが学校の中で学校前・放課後の学童保育を経営してくれています。PTAはとても活動的です。

約17年間、町の高校は退学者問題に取り組んでいました。積極的にこの問題を取り組む学校と地域チームを作るために国から奨励金を申し込みました。そのお金を使って沢山のプログラムを作りましたが、一番効果があり長く続けられているのはアミース・プログラムでしょう。このプログラムでは、高校生のボランティアがメンターとして特定の小学生とペアになります。このプログラムはかなりの成果を挙げています。アミーゴス・プログラムに参加した小学生は高校生になってボランティアになったり、卒業してから教員になる人もいます。

最後に…

カウンセラーとしての私の役目は、全ての児童が情緒的にも社会的にも成長することであり、自分の得意と不得意、強み弱みを理解し、学校と社会で成功するためにう必要な問題解決能力を与える事です。地域の資源を活用することにより、私は子供たちに色々な人に出会う本物の人生の機会を与える事ができます。よくどこかでお聞きしたことがあると思いますが、1人の子供を育てるには一つも町を作るぐらい時間がかかるのです。

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